家の構造で重要な事(1) [住宅]
だいぶ間がいてしまっているのですが、心機一転。
ここより 新しいシリーズ 「家の構造で重要な事」シリーズを書いていきます。
建築家の仕事って は時々 続けますが、今回は新シリーズで再開します。
以前は ひたすらに注意喚起のような内容でしたが、逆にチェックを促す内容にしょうかと思います。
(建築家の仕事って でもかなり 「こういう建築家に気を付けろ」でしたが)
第一回目の内容は、「4号建築、長期優良住宅、性能評価って何?」です。
どこまで書けるかですが、できる限り単純に 素人の方でも分かるように書くので、あまりに専門性のある事は 割愛します。
4号建築とは
建築基準法第6条においての分類で 1から4号のうち もっとも低層で、建築物的には簡易ともいえる部類。
例えば、木造2階建てで延べ面積が500m²以下のものは4号建築物(4号建物)となる。
設計上について
構造計算書 および 構造図の提出は求められない。
基本的に それを設計した建築士の責任であり、その責任において 構造設計したことと解釈されている。
決して、「やらなくてよい」ということではなく、あくまで 申請として添付・審査が不要 となっているだけである。
主な提出図書は 申請書 配置図 平面図 立面図 断面図 であり、審査機関や行政の方針で 構造計算の代わりとなっている、筋交・耐力壁の壁量計算書提出/ホールダウン金物の検討 N値計算 を求められる場合がある。
上記が法的なことが主な説明文ですが、この4号、そもそも 「あんまり難しいと大工さん 仕事できない」もかかわってます。確認申請に「構造計算書提出」が入ると、大工の勘やプレカット会社の思惑も一切及ばないこととなるのです。
実は、プレカットは、構造計算しているとかいう会社もあれば、従来通りのスパン表と言われる その梁の橋渡ししている区間によって 梁の性能を規定している 経験や実例に基づいた「表=スパン表」があり それで梁の大きさを決めています。
しかし、この決め方には、構造計算する場合 用いる 考え が 抜けていて、場合によっては、構造計算した場合とで大きく異なる結果となる場合もあるのです。
このプレカットについては プレカット会社が製作し、建築家はかなり これをあてにしてます。
そう、構造材の設計は プレカット会社または工務店 任せ なんです。
また、梁・柱だけでなく、耐力壁もこんなルールが・・・・
先にも書いたように、軸組計算=簡単な壁量計算 と N値計算=簡易な基礎と柱を緊結する金物の耐力を決める計算 があり、本来 構造計算であれば、この部分は 建物の「重さ」から地震せん断力係数というものをかけて、計算します。上記の簡易計算は、屋根→重い屋根 軽い屋根 程度の区別で 耐力壁量を決定しています。この計算は 構造計算に比べ、とても簡易で、かつ、ずいぶん昔に作られたため、構造計算よりも遅れています。現状の軸組計算の 1.25倍くらいみて設計する方が 軸組だけするのであれば その方が良いと思います。
基礎構造については
瑕疵保険による仕様で、配筋が決まってますが、構造計算から比べると、不十分と言える場合もあります。
基礎構造は、あくまで重さ が主です。耐震等級による影響は、ホールダウン金物の引き抜きによる 外周基礎梁の下端主筋(鉄筋)のみでしょう。
いずれにしても、構造計算不要だと、計算するとしないでは、かなり答えが異なります。
ということで、まとめると・・・
4号建築とは
・構造計算をしなくても良いことを認められているのではなく、書類提出が求められていないだけ。
・しかし、一般的には 構造計算は行わず、耐力壁を算定する軸組計算やN値計算といった 簡易計算法で決定している。
・基礎も瑕疵保険規定仕様止まり
です。
あまりいい話ではありませんが、大概の低層住宅の建築物は この4号で、適当に強度をアップしているという感じです。中には 構造計算を自社で行っているところもあり、そういうところは信用できると思います。
昨今「日弁連」が「4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書」を出し、特例を止めようと 意見しております。これは、現状の建築士事務所のほとんどが 自社で設計できなくなり、かつ、デザインの自由度が落ちると思われます。この通りにはなりませんが、4号特例は いつかはなくなると思います。
アンケートを行った方もいて こんな結果が!!
つまり、
一般の方 および 構造設計者 = 賛成
建築業界の人間 = 反対
建築業界の人間 = 反対
となってます。
業界の悪しき慣習は、是正されるのでしょうか。
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